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「うすうす知ってた」では、「いつか結婚したいなぁ」と思ってはいても、特に何も行動を起こさず、夢想で満足してしまっている女性・梢が主人公。でも、妹の結婚の知らせを聞いて、ソワソワと落ち着かなくなってしまいます。
ここで、世の中でもよくいるような叔母ちゃんのセリフに対する、梢の心理描写を読むと、こういう感情を文章で伝わるようにあらわせるなんて、本当にスゴイと思います。もちろんプロの書き手だから当然といえば当然ですが、やはり田辺さんのこういった描写はとりわけ素晴らしいと感じます。 「『なあへ、梢ちゃん、うらやましいやろ、けどこんなんはみな縁のもの、そのうちまた、あんたにもええ縁がまわってくるよってに、嫉妬(へんねし)おこさんと、笑(わろ)て碧ちゃん嫁(い)かしたげよし』と梢をなぐさめたりすると、さすがにお人よしの梢も、いらいらいてしまう」 「それは決して憎悪や嫉妬ではないのだ。むろん、ひがみやそねみ、羨望、片恨み、おちこみ、鬱屈、とりのこされる淋しさ、なども加わっているが、それ以外に、ほのぼのとした娯しみ、好奇心、ときめき、物珍しさ、昂奮などもあって、梢は決して暗い気持いっぽうではないのだ。そういうくらい色のビー玉にまじってきれいなときめき色のビー玉もほどよくまじり、見るからに美しき毒素というものになっている。それらがフラスコの中でふつふつとたぎっているのであった。梢はその状態を、はらはらしつつも楽しんでいる」 ところで、梢が気分を切り替えるためのクセ? おまじない!? が好きです。 「ときどき無意味なしぐさだが、空を切るように手刀をふりおろしたりして、『シャーッ!』という擬音を口に出す。まるで誰かを切り捨てたみたいにみえる。しかしそれをやると心の中がサッパリとすがすがしくなる」 『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦)の「なむなむ!」や、『きみの友だち』(重松清)の堀田ちゃんの自分を鼓舞する「堀田ちゃん、ファイト、堀田ちゃん、ファイト、ファイト、おーっ」を思い出しました。こんなの自分でも何かほしいです。 つづく 『ジョゼと虎と魚たち(角川文庫)』(田辺 聖子/角川書店)
by dskiwt
| 2009-02-11 23:59
| 田辺聖子
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